「常陸の古刹と史蹟を巡る」研修旅行 <その2>


 一日目の最後は益子の西明寺に行った。西明寺は獨鈷山普門院西明寺と称し、真言宗豊山派に属する寺で、本尊は十一面観世音菩薩である。寺伝によれば、天平9年(737)行基菩薩の草創、紀有麻呂によって建立され、天平11年(739)落慶供養が行われたと伝えられる。
 西明寺には本尊の十一面観音ほか、千手観音、馬頭観音、如意輪観音などがあり、どの仏像も鎌倉時代の素晴らしいものだった。住職の田中雅博という方が、丁寧に仏像の説明と、サンスクリットの言葉の説明も含めて、色々な話をしてくれて勉強になった。塾生は熱心に耳を傾け、質問をし、住職が熱心に話をしてくれる。予定時間をかなりオーバーして、幹事さんはあわてて宿に遅着の連絡を入れた。この日は気温が下がり、本堂の床が冷たく、久しぶりに足がジンジンと冷えて寒かった。
 
 本堂脇に閻魔堂があり、笑っている閻魔像がユニークで面白かった。この笑っている閻魔さんを笑い閻魔と言う。閻魔の隣に地蔵菩薩が立っており、この地蔵さんが笑っている。閻魔は五七日本尊地蔵菩薩の化身とされている。地獄に落ちた人を救う為だ。お地蔵さまは、他人の為なら地獄まで行くという菩薩行を行い、決して怒らず、いつも笑みを浮かべている。お地蔵様の心が笑い声だから、その化身の閻魔は笑っているのだと住職が説明してくれた。
 閻魔が地蔵菩薩の化身ということを初めて知った。閻魔や地蔵のことを調べてみると知らなかったことが多く、仏教がヒンズー教道教などの影響を受けて、色々な形で日本化してきたことが分かって面白い。
 西明寺の境内にある看清坊という、聖観音が飾られている介護老人保健施設に案内してもらった。聖観音が介護老人の皆さんを温かく見守っている姿が印象的だった。
 この仏像の脇に、住職がサンスクリットの原文から自ら訳した般若心経が掲示されていた。「医者と坊主と先生」、一人で3人分の活動をされている方に実際に会って、仏教、仏像の話を聞くのは初めてだった。この住職の般若心経訳は、今までに読んだ心経解説本とはちょっと異なって新鮮だった。


 家に帰ってから、この住職田中雅博さんの活動を知って、なかなか大変な方だと敬服した。
 この日の宿は「国民宿舎つくばね」、風呂に入る時間もなく7時からの夕食。夕食がすむと、T先生の今日の古刹の仏像、史蹟に関する歴史などの講話を聴く。酒に酔うひまはない。2次会では参加者の質疑応答や先生のウズベキスタン旅行などの話もあり、またまた、知的好奇心を刺激された。

 西明寺のホームページは以下のURLです。このHPから、仏像や、住職の略歴、「般若心経の読み方」などもご覧になれます。
http://fumon.jp/

 近県にお住まいの方は、是非、西明寺にお出けになることをお勧めします。