「奇跡の脳」

 友人のsunriseさんが薦めてくれた本である。図書館に予約を入れておいたが、忘れてたころ、半年後に届いた。人気が高いのだろう。
 この本を読んでビックリした。著者の脳解剖学者が動静脈奇形による脳卒中を体験し、その体験と回復の経緯を克明に書いているところが凄い。自分が倒れたときの記憶、脳の中のこと、身体に起きていることを、ここまで記憶、記録していることに驚いた。
 脳卒中で倒れたとき、かすかに働く脳の働きによって電話機の所に行ったものの、911(日本と反対)の番号が思い出せない。やっとの事で勤務先の電話を思いだし助けを求めた。
 人間の脳が壊れることによってどんなことが起こるのか、リアルに表現されていて、自分が脳卒中になったらどうなるのだろうと思うと恐ろしくなった。
 著者は手術後の母親との8年間に及ぶリハビリの様子を書いている。37才の学者が突然赤ん坊のようになった。赤ん坊がことばを憶え、手足を動かして動作を憶えていくような過程を書いている。左脳の回復にともない、右脳との闘い、左右の脳のバランスなど、あらためて人間の脳の奇跡、凄さをまざまざと教えられた。

 私も大脳生理学や、脳科学、右脳関係の本などに感心があり、その関係の本も多少読んできたので、この本の中で書かれていることはおおむね理解できた。また、この本の中で、涅槃(ニルバーナ)という言葉が何度か出て来る。著者が仏教哲学にも関心を持っていたことがうかがえる。臨死体験に似たような体験(表現)もされていて興味深かった。又、唯識仏教にも通じる考え方もあり、遺伝子学にもかかわる箇所があったりと、新鮮な驚きがあった。

 なかなかうまく感想を書けないが、amazonのレビューに私の言いたいことと同じようなことが書かれているので、ご興味のある方は是非amazonのレビューもご覧下さい。
 今のところ?、脳が正常な方も、これから子供を育てようとされている方にも、参考になるところ大だと思います。