文房具雑考:ホッチキス


 文房具好きのHenryはホッチキスも新しいものが出ると欲しくなる。最近出たものは「バイモ」というMAX社のものを購入した。このホッチキス、40枚まで軽い力で綴じられるところが売りだ。ビジネスマンを引退したHenry、今更40枚もの書類を閉じる必要はほとんどない。家人が知ったらまた文句を言われるところだ。
 普通の小型ホッチキスでは20枚から25枚位までが限度で、うまく綴じられなかったときに、針を外してやり直すのがとても癪に障る。会社勤めをしていたときは会社に大型のものがあるのでよかったのだが、退職した今、たまに枚数の多いものを閉じるときがあるとホッチキスで閉じるのをあきらめなくてはいけなくなる。
 このホッチキス、実にうまいものを発明したものだと感心する。
日本での「ホッチキス」という呼び名は、明治中期に伊藤喜商店(現、株式会社イトーキ)が米国より初めて輸入したステープラが、E.H.ホッチキス社(E.H.Hotchkiss)の製品であり、これを「ホッチキス自動紙綴器」と名づけて販売したことに由来する。日本では、「ホッチキスの名は、機関銃を発明したベンジャミン・バークリー・ホッチキス(B.B.Hotchkiss)の発明品であり、E.H.ホッチキス社(E.H.Hotchkiss)は彼の弟が起こした」という俗説が広く流布しているが、実際には、B.B.Hotchkiss(1885年没)はホッチキスの発明者ではなく、これは機関銃とホッチキスの弾送りの機構が似ていることによる都市伝説の類である。とウィキペディアで説明されていた。
 先の説明にもあるようにアメリカではstaplerと言い、ホッチキスとは言わない。LAに駐在していたときに、アメリカの文房具やOffice Depotにもよく行った。アメリカの文房具は日本よりずっと安いが、日本製品に比べるとちょっと作りが雑で繊細さに欠けるものが多かった。Staplerもいくつか買ったが小型のものは日本製のものが使い勝手が良かった。日本製のホッチキスの針がアメリカでは買えないので、一時帰国をした際にたくさん持ち帰った。
 
 アメリカでは日本よりもはるかに分厚い資料が多くコピーされ、配布されることが多かった。そのため、大きな高速コピー機があって、しかも丁合、ホッチキス作業を短時間で処理してくれる機械があって感心した。日本でも同じような機械があったのだろうが、20数年前の我が社の本社にはなかった。

 ホッチキスも、1.綴じた針が平らになるもの、2.冊子印刷をしたものが、週刊誌のように中折りした真ん中で綴じられるもの、3.さらに小型で携帯に便利なもの、4.工事用の打ち付けようステープラ、などいろいろあり、時に応じて使い分けている。
 最近では針を使わないホッチキス(ハリナックスという名前でコクヨから売り出されている)も発売されており、まだ買っていないが、なかなか優れものである。

 ホッチキスリムーバーという針を外す道具も何種類かある。勤めていたときには、一度綴じた数十部の会議資料の頁差し替えをしなければならないときがけっこうあった。そういうときにリムーバーが役立つのだが、どんな厚さ、針の大きさでもスムーズに外せるリムーバーはまだないようである。

 「それがどうした!」、要は、切れが悪い包丁で料理を作りたくないのと同じ気分で、きれいに、スマートに綴じたい、外したいという、“つまらぬ男の美学?”であります。