東西本願寺参拝

 東西、本願寺を20年ぶりくらいで参拝した。18歳で親鸞の仏教に触れ、親鸞関係の本をたくさん読んできた。倉田百三の「出家とその弟子」「歎異抄」「和讃」「教行信証」など、解説本も読んできた。以来、親鸞の源流を辿り、浄土三部経、世親、無著、龍樹、ゴータマ・ブッダetc.、大乗仏教を中心に禅宗唯識、華厳、密教など色々な仏教を学んできた。

 だからどうなったというものでもないが、自分が60余年生きてきた中で、折に触れ仏教の信仰というより、仏教という哲学、生き方が自分を支えてきたとは思う。
 京都に来たついでに、自分にとっての仏教の原点、親鸞本願寺に行ってみたくなった。生憎と親鸞聖人750回大遠忌ということで、東西とも大修理中だった。どちらも半分ほどしか参拝できなかった。
 西本願寺の門前の横町を入ったところに、何やら教会のような建物がある。本願寺の目の前にキリスト教?と思って近くに来てみると、伝道院という浄土真宗西本願寺の関連施設だった。本願寺築地別院も設計した東京帝国大学伊東忠太博士という人が、ルネッサンス様式や、ゴチック様式など、当時、西洋一辺倒だった近代建築史において、敢えてアジアを意識した建物を作ったと、立て看板に書いてあった。ここも修理中で中を見学することができなかった。門前町風景の中で味わいのある建物だった。
 本願寺そのものは工事中でほとんど見るところがなかったので、参観者用ビデオを見た。750年遠忌のために大変な修理をしていることが分かった。4月には完成するとのこと、機会があればまた訪れてみたいと思った。
 境内にある本願寺書店を覗いた。熱心な真宗信者が女性の係員に説明を聞きながら、真宗聖典を買い求めていた。私は、エンゲイジド・ブディズムを書いた小冊子、清沢満之の小冊子、教行信証の現代語対訳などを求めた。

 最近は、五木寛之親鸞を書いているが、あまりこれといった親鸞関係の本はないように思う。帰りの新幹線車中で、買ったばかりの教行信証を読んだ。親鸞関係の原典も読みなおしてみたいと思っている。
 久しぶりの2泊3日京都の旅、有意義な時間が持てた。