中東ジャスミン革命

 中東のジャスミン革命が拡大している。何故ジャスミン革命というのかと思ったら、ジャスミンがチュニジアを代表する花であることから、このような名前がネットを中心に命名されたという。
 一連の暴動では情報共有のため、Facebookなどを通じたインターネットによる情報交換が力を発揮したほか、YoutubeTwitterWikiLeaksといったネットメディアも重要な役割を果たしたとされている。今日のIT技術の発展、インターネットの拡大、携帯電話の普及は、20年ほど前には考えられなかったことだ。
 今回の情報共有はPCよりも携帯電話でのメールや画像送信が大きな力を発揮したという。中東諸国でのPCの普及は15%ほどで、携帯電話は80%を越えているという。携帯電話の最近の進歩、活用状況には目をみはるものがある。
 エジプトでは政府のネット遮断策に対抗して、全世界に散らばる600人もの「アノニマス」というハッカー集団がエジプト政府のコンピューターに一斉攻撃を仕掛けて情報共有を守ったという。
 リビアカダフィ大佐がどういう人物かを今回の暴動で初めて知った。1969年に革命評議会議長として実権を握って以来、なんと42年間も独裁政治を続けてきている。その体制も、遠からぬ内に崩壊するであろうが、予断は許さない。
 今回の中東革命は政治体制の変革とか、政権交代といった革命ではなく、永年の独裁体制下での貧富の差、失業率など市民の不満の爆発だ。ある大学教授は、今回の一連の動きは、単に、親米政権の崩壊とか、石油利権をどうするかという次元のみで捉えるべきではなく、グローバル市民主義としてとらえるべきだという。
 中国でも中国茉莉花(ジャスミン)革命としての動きが拡大しつつあるようだ。
 グローバル市民主義という視点に立つと、グローバルスタンダードを拡大してきたアメリカや日本も今回の一連の中東諸国の動きを対岸の火事と見るだけでなく、新しい歴史の中の深層に潜む問題を、共通した認識を持って考える必要があると思う。
 私は、人類、世界がもう一段新しい段階に進化するには、あと40年くらい必要ではないかと、以前から思っている。そのためには、今しばらくの辛抱=しゃがみ込みが必要だろうと思う。
 中東や、中国、朝鮮半島だけでなく、アメリカ、日本も、もう一段大人の品格ある国家、国民にならなくてはいけないと思う。
 残念ながら、中東諸国がこのまますんなり素晴らしい民主国家になるとも思えない。イスラエル、アメリカ、ヨーロッパとの関係も含めて、今しばらく混迷の時代が続くのではないだろうか。
 2050年までは私も生きながらえられないが、早く国家、人類、世界がもう一段成長し、進化してほしいと願ってやまない。