「But Beautiful」(ジェフ・ダイヤー:村上春樹訳)

 私は小説は苦手で村上春樹の小説はほとんど読んでいない。40歳のころ「ノルウェイの森」を勧められて読み始めたが、最初の10ページくらいで止めてしまった。村上春樹のもので読んだ本は、『村上春樹河合隼雄に会いに行く』「ジャズ・アネクドーツ」(2000年7月 新潮社)「やがて哀しき外国語」 (講談社文庫)、くらいだろう。村上春樹が熱烈Jazzファンのことは以前から知っている。Jazz好きのHenryにとっては、村上春樹のJazzものは共感が持てる。
 そんな村上春樹が偶然出会った「バット・ビューティフル」を翻訳した。著者のジェフ・ダイヤーは、私も聞いたことのある、レスター・ヤングセロニアス・モンクバド・パウエルベン・ウェブスターチャーリー・ミンガスチェット・ベイカー、アート・ペパーなどの偉大なるジャズプレーヤーについて、エピソードを交えながら、単に実話を語るのではなく、想像的批評、言いかえれば、自由評伝というスタイルで、想像力を自由に働かせ、そこから各プレーヤーの生きた情景を立体的に表現している。
 取り上げられているプレーヤーのJazzは、少なくとも、何回かは今までに聴いたこともあり、映画や、DVDで演奏風景も見てきた。しかしこの本で取り上げられているようなエピソードについてはほとんど知らなかった。
 村上春樹は彼らのレコードを聴きながら、この本を翻訳したという。
私もこの本を読みながら、彼らの演奏がまた聞いてみたくなった。題名の「But Beautiful」(それでも・・・美しいわ)という曲の入った、フレディー・ハバードとマッコイ・タイナ―のCDを持っていたので早速聴いてみた。物語を感じながらJazzを聴くのもまた乙なものでした。

バット・ビューティフル

バット・ビューティフル