「名君の碑(保科正之の生涯)」(中村彰彦:文春文庫)

 日本史に弱い小生、保科正之のことは、名前だけは知っていたのですが、いつの時代のどんな人物かほとんど知らなかった。たまたま、NHKのBS歴史館という番組で、この本の著者、中村彰彦黒鉄ヒロシが出演し熱く保科正之を語っていた。
 保科正之は江戸時代初期の大名。 恥ずかしながら、この番組で初めて知った。徳川家光の異母弟で、高遠藩主、山形藩主、会津藩主を経る中で、4代将軍家綱の輔弼役として活躍した。
 明暦の大火では浅草の米蔵を開放して市民を救い、天守閣の再建に反対して復興を優先させる。会津藩においては福祉政策や減税などで大いに国を発展させる。また、「末期養子の緩和」「殉死の禁止 」「大名証人制度の廃止」などの改革や「玉川上水の開削」など数々の政策を行った、徳川初期の名君であった。

 番組を見て、早速、「名君の碑」を読んだ。小説嫌いの小生ですが、800頁ほどの厚い文庫本だったが一気に読んだ。他に中公新書の「保科正之言行録=仁心無私の政治家」と「保科正之徳川将軍家を支えた会津藩主」を併せ読んだ。にわかに保科正之ファンになってしまった。
 保科正之が現在生きていたら、福島、山形、宮城県知事兼、内閣官房長官といったところだろうか。歴史にIFはないのだが、彼が総理大臣だったら今回の東日本大震災福島原発事故に、どういう対応をしただろうかと思わずにはいられない。昨今の政治家、総理大臣に保科正之を勉強しなおしてほしいと思った。
 保科正之については、高校の歴史教科書を開いてみても2,3行しか書かれていない。しかし、福島県では保科正之は土津さんと慕われて、会津磐梯山の麓に、土津神社(はにつじんじゃ)として祀られているという。小・中・高等学校でも、もっと福島正之のことを教える必要があると思う。ちょっと地味かもしれないが、保科正之の生涯はなかなかドラマチックでもある。NHKが大河ドラマ化したら、日本人の歴史観や江戸時代を見る見方も変るのではないかと思う。
 ちょっと厚いですが、「名君の碑(保科正之の生涯)」はお勧めです。

名君の碑―保科正之の生涯 (文春文庫)

名君の碑―保科正之の生涯 (文春文庫)

  
保科正之言行録―仁心無私の政治家 (中公新書)

保科正之言行録―仁心無私の政治家 (中公新書)