古事記1300年

 古事記が書かれてから今年は1300年になる。そんなわけで、今回のA塾のテーマは古事記
古事記は、日本人の自分たちの歴史で、今にまで生きている。世界の文化の原型であると先生は言う。古事記は我々自身の中の血の流れとして今に生きている。それに引き換え、ギリシャ神話も立派な神話だが、現在のギリシャには生きていない。
我々日本人はもっと古事記を学ばねがならないと思う。
 先生のお話にもあったが、古事記は712年、日本書紀は720年の作、両方とも天武天皇の意向で作られたと言われている。しかし、古事記は口承をベースにしていて、中国の思想が出てこない。日本書紀は漢文で書かれ、中国の陰陽説や、儒教の影響が至る所に見られる。
また、古事記は、スサノオノミコト大国主命、など出雲系の神々を多く取り上げているが、日本書紀は異なる扱いをしている。
 古事記日本書紀については、直木孝次郎、門脇禎二、斎藤秀喜、大和岩雄、三浦佑之等、いろいろな歴史学者や、作家がそれぞれの立場で書いている。amazonで検索すると、3000冊ほど出てくる。関連本まで入れたら一万を超すのではないだろうか。
 誰のいうことが正しいのか、歴史素人の小生では判断がつかないことが多い。それぞれの方の書いていることに理性で納得したところと、感性的に同感できるところを自分なりに理解するしかないのだろうと思う。
 先生のお話の中で、「八岐大蛇」は古代に起こった地震、大津波のことだったのではないかと言うのは、ユニークな想像力だと感心した。確かに八岐というのは八つの大きな山が動くようなということだし、大蛇は水の神。古代人が神の祈りによって、地震、大津波を鎮めたことを神話に託したのかもしれない。
 東日本大震災後、天皇陛下被災地に赴き、海に向かって祈りを捧げたことにも通じるものがあるのだろう。
 この日の講義を聞いて、途中で止まっていた「口語訳 古事記」(三浦佑之)を読み返したり、関祐二の「『古事記』と壬申の乱」等を読んだ。
 三浦佑之(すけゆき)の「口語訳 古事記」は口語訳であるが、彼の信念に基づいて、口承の神話という切り口から、語り部調に口語訳を試みている。とはいえ、原文の用語の解説など細かい説明もなされており、読みやすいものになっている。今度は最後までじっくり読んでみようと思う。
 

口語訳古事記 完全版

口語訳古事記 完全版