<読書>「神道と日本人」(山村明義:新潮社)
A塾の勉強会で、Oさんが紹介してくれた。とりあえず図書館に予約したら、忘れた頃貸出OKになった。この本を書いた山村明義さんと言う方、神道関係の方ではなく、宗教学者、哲学者でもない。雑誌記者を経て、政治ジャーナリストとして活動していると言う。この本は現在の日本の神職200人以上にインタビューをして
原発事故や秋葉原事件の地元の古社をはじめ、ブームに沸く伊勢、熊野、出雲、さらに宮中祭祀の最奥までについて熱く語っている。
 多くの現代人、都会人が忘れてしまっている、「鎮守の森」を魂の帰る場所と考える日本人。その精神性の根底にあるもの、行動様式、日常生活のあらゆる面において、神道がそのおおもとにあるという。
お蔭さまの精神、きれい好き、相手に対するもてなしの心配り、自己犠牲の精神、これらの多くは仏教の影響が多いかと思ってきた。しかし、この本を読むと、古事記日本書紀が書かれる以前、縄文時代にさかのぼる日本人の自然神道にまで行きつくDNAを想う。
 
 伊勢、熊野、出雲についても各地の神職の話を織り交ぜながら、通常のこれらの地についての従来の神道解説書とは異なり、読みごたえのある踏み込みをしている。また、日本人の諦めない心、強さの源泉の魂観、武士道精神についても語っている。
 宮中祭祀については、ふだん、天皇の祭祀を見聞きする機会の無い小生にとっても勉強になった。宮中祭祀は”公の行事”ではなく、天皇の「私的行事」だということも初めて知った。国の平和と国民の幸せを祈り、自然に感謝を捧げる天皇陛下に頭が下がる。

禊と祓、アメリカカリフォルニアの神社、インターネット神社案内、神々の共存共栄etc. 色々と考えさせられた。宗教書、神道解説書ではなく、現代日本人として日本、日本人のあるべき姿を考えさせられる啓発の書だと思う。

神道と日本人 魂とこころの源を探して

神道と日本人 魂とこころの源を探して