[机草子]<高倉健さんの死を悼む その1>

 11月10日に高倉健さんが亡くなった。また一人、昭和の名優があの世に逝かれた。高倉健さんの映画は小中の頃やくざ物は見たように思うが、記憶がほとんどない。「幸せの黄色いハンカチ」「鉄道員(ぽっぽや)」はどちらも素晴らしい映画で印象に残っている。
 昨日、今日のテレビの報道では、かって共演した、吉永小百合大竹しのぶ、武田鉄也、千葉真一北島三郎、たけし、山田洋二監督の追悼の弁などを聞き、あらためて高倉健さんの素晴らしさ、魅力を再認識した。映画関係者だけでなく、高倉健さんがロケ地でお世話になった方々の語りにも感動した。

 「往く道は精進にして、忍びて終わり、悔いなし」 この言葉は高倉健さんが座右の銘にしていたものだという。高倉健さんの辞世の句のようにも思える。この言葉、比叡山延暦寺の千日回峰行を2度満行した行者として知られる酒井雄哉(さかい ゆうさい)大阿闍梨からいただいたものだという。

 彼の演技、俳優として、また、人間としての生き様を見ていると、仏道修行している阿羅漢か、禅の行者、雲水にも思えてくる。色々なことに関心を持って、勉強する努力家でもあったようだ。おそらく、仏教のことも色々と勉強していたに違いない。
 関係者の色々な話や、ファン、市井の人たちの思い出話を聞くと、高倉健さんが映画界の “妙好人”ではないかとも思えてくる。
 
 レンタルショップの在庫は払底してしまっただろうが、「あなたへ」「飢餓海峡」などを観てみたいと思う。
 高倉健さんのような俳優は二度と出てこないだろう。もう少し老境の渋い演技を見せて欲しかった。
 
 ただただ、ご冥福を祈るばかりだ。合掌!