夏目漱石の妻=夏目鏡子=悪妻?

 NHKドラマで「夏目漱石の妻」を連続4回見た。夏目漱石の妻はソクラテスの妻と並んで悪妻と言われてきた。ソクラテスの言葉だったか、悪妻を持つと哲学者になる!ということを高校時代に読んだことがある。そんなわけで、このドラマを面白く拝見した。どれほど? どんな悪妻なのかと興味があった。ドラマを見ると、悪妻どころか、非常にチャーミングな賢く強い女性だったことが分かった。このドラマを見て、漱石のほうがよっぽどひどい男だったのではないかとも思った。
 このドラマ、夏目漱石の妻、鏡子の語りをもとに、漱石の長女筆子の婿、松岡譲が筆録した「夏目漱石の妻」をドラマ化したもの。ドラマを見てこの本が読みたくなりさっそく読んだ。
 漱石は坊ちゃん、吾輩は猫である、三四郎、それから、門、行人、こころ、等を、高校、大学時代に読んだがそれ以外は読んでいない。いつだったか、漱石ソクラテスの妻が悪妻であるとものの本で読んだことがあったので、漱石の妻がどんな女性だったのか興味があった。
 ドラマを見、この本を読んで、悪妻どころか、なかなか魅力的な女性だと思った。漱石とその妻、また、夫婦関係、家族模様を改めて考えさせられて面白かった。この本の中で語られている、まだ読んでいない、「明暗」「硝子戸の中」「道草」「虞美人草」なども読んでみたいとおもう。
 
 私は母を4歳で亡くしているので、どんな女性だったかは分からない。しかし、二人の姉と妹がいる。小さい時から、身内の女性3人を見てきたのと、実家の魚屋の手伝いでお得意様の奥さん達を多く観察する機会があった。そんなことから、世の中には、いわゆる良妻賢母よりも悪妻?のほうが多いのではないかと思ってきた。そんなわけで、後輩の結婚式で祝辞を頼まれたときには、”悪妻擁護論”をぶったこともあった。
 漱石ファンで「夏目漱石の妻」をまだお読みでない方には是非お勧めです。