『歌謡曲から「昭和」を読む』

『歌謡曲から「昭和」を読む』 
 
 最近は歳のせいか歌謡曲が懐かしい。テレビでも「昭和は輝いていた」や「昭和偉人伝」などで、作詞家、作曲家などを特集し、その歌が生まれた時代背景や、作詞家、作曲家がその歌に込めた思いなどを語っている。そういうことだったのかと改めて感心し、その歌が以前より好きになるものが多い。
 そんな中、なかにし礼の『歌謡曲から「昭和」を読む』(NHK出版新書)を読んだ。
 歌(うた)は世(よ)につれ世は歌につれと言う。歌は世の成り行きにつれて変化し、世のありさまも歌の流行に影響される。
流行歌、歌謡曲、演歌、定義はよく分からんが、詩とメロディーが心を打てばいい。昭和8年NHKが流行歌を歌謡曲と言うようになったとなかにし礼は書いている。ともかくも、ヒットした歌謡曲は、いずれも時代をつかんでいる 時代を映す鏡となっている。
 うたうの語源は、うったふ(訴う)、言霊によって相手の魂を「打つ」、手や楽器を打つなどからきているようだ。そういった意味で、 風土記古事記日本書紀万葉集梁塵秘抄から、雅楽 朗詠、催馬楽、神楽歌、久米歌、歌舞、能楽、神事能、式楽、散楽→猿楽→能楽などとつながっているという。
 そういう意味で、懐かしい歌謡曲の歌詞、旋律を見直すとなるほどと思うところも多い。
 なかにし礼は1938年生れ、私より6歳上、姉、兄の世代だ。彼の文学的才能も併せて、昭和の初期からの歌謡曲や彼の作詞した曲も含めて、時代背景も織り交ぜながら歌謡曲を語っている。
 政治の昭和史を読むより、幼い頃の昭和の情景が思い出される、庶民の昭和史になっていると思う。
 私がまだ2,3歳の頃の歌もなぜか歌詞を覚えていて歌える曲も多い。兄弟や、親たちが歌っていた、その後のラジオ、テレビの番組の中で懐メロとして
放送されていたものが耳に残っているのだろう。
 平成の歌謡曲にもいいものがあるが、昭和のものに比べ、心にひびくものはそれほど多くない。
 なかにし礼が選んだ、歌謡曲の歴史を代表する10のヒット曲と、わが心の歌謡曲ベストテンを以下に画像添付しました。
 なかなか、素晴らしい、歌謡史、昭和史になっていますので是非ご一読をお勧めします。


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