「中世の文学」(唐木順三)

今迄に、方丈記徒然草花伝書道元芭蕉俳諧などを読んできたが、中世の歴史の流れの中でその位置づけ、関連等を考えては読んでこなかった。
 今回この本を読んで、「数寄」から「すさび」さらに「さび」に至る流れが理解できて面白かった。
 以下はamazonからコピペしたコメントです。
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「数奇」から「すさび」を経て「さび」に至って確立する中世文学の「精神のかたち」を極めてシャープな論理で抽出した唐木の代表作である。鴨長明の「数奇」になお残る王朝文学の残滓を払拭し、裸の現実を直視したのが兼行の「無常」即ち「すさび」であるが、世阿弥道元芭蕉をつなぐ太い稜線を形作るのは、「型」や「行」あるいは「自然」という自己を越えたものに自己を委ね尽くすことで真に自由な自己に遊ぶ境地であり、それが「さび」だ。「数奇」から「すさび」への道が「色即是空」だとすれば、そこから「さび」に至る道が「空即是色」であることは言うまでもない。東洋哲学の伝統に即しつつ、芸術におけるその極致として能、禅、俳諧に一貫する精神を明解に位置づけた傑作評論である。