「古事記を読みなおす」(三浦佑之:ちくま新書)

三浦佑之さんの本は「口語訳古事記」など読んでみようと購入したのだが積ん読になったままだった。この「古事記を読みなおす」は新書でもあり読みやすそうだったので読んだ。いままで、古事記については関連本を何冊か読んできたが、もうひとつ、理解ができていなかった。いままでは記紀と合わせよばれる古事記日本書紀とでなぜ、同じ時代に編纂されたのに、なぜ同じ神話、歴史を異なった表現をしているのかすっきりと説明しているものはなかったように思う。この本は古事記日本書紀の違いを分かりやすく理解させてくれた。

古事記を読みなおす (ちくま新書)

古事記を読みなおす (ちくま新書)

 古事記の序の意味も納得のいく説明だった。記紀については、色々な歴史学者や文学者が、それぞれの解釈をしている。ど素人の私には、読む作者毎にそれぞれ納得させられてしまうのだが、誰の説が正しいのだろうかと、分からなくなってしまう。
 この本で、いままでもやもやしていたものがスッキリしてきたように思う。この本では、出雲神話の位相や古事記の口承性(語り)をその成立と重ねて分析されているところが納得させるものがあると思う。
 三浦佑之さんの「口語訳古事記」「古事記講義」などを読んでみようと思う。

 以下はamazonの「BOOK」データベースより転記しました。
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 古事記は、律令国家の由緒を描く史書として読まれてきた。だが、こうした理解には根本的な誤りがある―。日本書紀には存在しない「出雲神話」が必要とされたのはなぜか。どうして権力にあらがい滅びた者たちに共感を寄せるのか。この作品の成り立ちを説く「序」は真実か…このような疑問を通じ本書は、「国家の歴史」以前から列島に底流する古層の語りとして、古事記をとらえ返す。それにより神話や伝承の生きた姿、魅力がよみがえる。古事記の世界を一望に収める入門書の決定版。