<禅をきく会 その2 田上太秀>
今回は、東大大学院人文科学研究科を修了し、現在は駒沢大学の名誉教授で、曹洞宗関東管区強化センターなどの講師を務めている田上太秀 さん、田上さんは、以前「道元の考えたこと」「ブッダのいいたかったこと」等を読んでいたので、「ほとけも昔は凡人だった」という表題で、どんな講演をされるのかと興味があった。
本で読むのと異なり、80分~90分での公演ではなかなか突っ込んだところまでの話は聞けない。しかし、表情見ながら、肉声を聞きながらのユーモアを交えての講演は読書とは違った味わいを残してくれる。
慈悲の話から、慈母、母の心が仏の心、仏の心は“一味の心”、ひとあじは塩の加減、塩は海の味、“いいかげん”ではなく”良い加減”。”てきとうに”ではなく、”適当=当に(まとに=まさに)適う(かなう)、中道(バランスのとれた)生き方をしたほうがいいと言われる。ごもっともである。
海には世界中の川が流れこむ。海はすべてをのみ込む母の心。海、母は拒まない。厳父はあるが、慈父はなく、慈母である。だから? 妻、母を大切にしろと言われる。
”世の中は寄り合い所帯”→ 自分の身体も。
“坊さんは、病気の時に、「今、四大不調です」と言う。
などの話や 「諸悪莫作・衆善奉行・自浄其意・是諸仏教」 ( しょあくまくさ ・しゅぜんぶぎょう・ じじょうごい ・ぜしょぶっきょう)=[ 諸々の悪しきことをせず、もろもろの善いことを実行しなさい。 そして、自ずからその意(こころ)を浄めていくこと。これが諸佛の教えである] を引用しながら、学校では良いことをしなさいと言うが、家庭では悪いことをするなと子供を教育する。良いことをするのはするのはなかなか難しい、先ずは、悪いことをするなと教えることが大切だと言う。むべなるかなですね。
最後に「口は災いのもと」、口からでる言葉が災いのもとになり、風邪などの病気もほとんどが口から入ってくる。”口をきれいに!”等々、読書では得られないものを学ぶことができた。