松の内

 「松の内」というのは1月何日までをいうのだろうか。広辞苑を引くと昔は15日までを言ったが、今は通常7日までを言うようだ。このせっかちな世の中で、いつまでも正月気分でいてはいけないということだろうか。我が家もマンション住まいでは玄関ドアに小さな飾り(注連飾り:輪飾り)をつけるだけで、それもまだ外していない。
 正月の行事は主として古代から続いている神道に関わるものが多いようだ。

 あらためて、なぜ正月に松飾りなのか考えたことがなかった。最近読んだ「釈迦に説法」(玄侑宗久:新潮選書)に“松”の話が載っていたので、ちょっとご披露。

 『禅語に「松花伴鶴飛」という言葉があり、「松花、鶴に伴って飛ぶ」と読むのだが、そこにこの言葉のめでたさの秘密がある。松は6月頃、ピンクの花をつけるのだが、たまたま飛来した鶴の脚に花がくっつき、鶴が飛ぶのに伴って見も知らない土地にその花が落ち、そこで芽を出して根を張り始める。そのありようが、花嫁に似ているというのである。』

 なかなかいい言葉じゃないですか。そういえば、若いときによく遊んだ花札の「松」の20点札には鶴が描いてあったっけ。子供に花札を教えるときにそういうことも一緒に教えておけば良かった。

 また、松は痩せた土地であるほど松は深く根を下ろし、花咲いた土地とは全く関係ない土地で力強く生きていく、という。
 能舞台に松が描かれているのは、松が神の依代としての象徴としてあるとのこと。この歳まで、能は数回しか見ていない。Unchiku Henryとしては能のなんたるかも語れないのは情けない。無職になった今、学ぶに遅しということはあるまい。もっと勉強しなくては思う。

 というわけで、松の内?に引っかけて「松」について書いてみた。