行基に関する本を読む その1

A.「天平の僧 行基」(千田稔:中公新書)、B.民衆の導者 行基」(速水侑 編:吉川弘文館)、C.「行基と律令国家」(吉田靖雄:吉川弘文館)、
 A塾での「役小角と行基」の講義から、行基についてもう少し勉強せねばと上記三冊を読んだ。
 行基は大僧正として聖武天皇により奈良の大仏東大寺ほか)建立の実質上の責任者として招聘されたことは、高校時代の日本史で勉強したが、どんな坊さんだったのかはつい最近までほとんど知らなかった。
 Aの本は、歴史地理学の千田さんが、行基像、あるいはその背景を、文献資料だけでなく、事業の足跡を実地に検証して説明しているので分かりやすい。また、彼の行動の背後にある有力な渡来人と技術集団、また同時に彼らによりもたらされた神や神仙思想を、行基八十余年の生涯にそって語っている。
 歴史地理学という学問があることをこの本で知った。面白い学問だと思うが、文献精査と現地を回り実地検証すると言うのも面白いだろうが、大変なことだと思った。
 行基はなにも書いたものを残していないので、どんな思想をもってあれだけの事業をなしてきたのかは分からなかった。
奈良時代、寺院建設はもちろん、道路や河川・池溝の整備や掘削、あるいは架橋と、多くの事業を行ったという行基の実像は俗説の奥に隠れて未だ明らかではない。
 この本を読んで、なぜこれだけの多くの事業をなしえたのか、行基の業績、人物像がだいぶ理解できた。
とりあえず、今日のところはAの本の感想のみとします。