[酔芙蓉 ]

 妙齢カッカリーナさんから「酔芙蓉」という花を教えてもらった。
この花、朝、白い花を咲かせ、午後になるとだんだんピンクにかわり,夕方から夜にかけてさらに赤くなり,翌朝にはしぼんでしまうという。このさまを,酒飲みの顔がだんだん赤くなってくることにたとえて,「酔う芙蓉」ということからつけられた名前とのこと。
 動物が擬態などで色を変えることは知っていたが、植物が一日のうちで色を変えるというのは初めて聞いた。
 『酔芙蓉といえば石川さゆりの「風の盆恋歌」、高橋治の同名の小説をもとに、なかにし礼が作詞をし、三木たかしが作曲をしています。先日NHKテレビの「そして歌は誕生した 第14集」で「ああ上野駅」「とんぼり人情」と「風の盆恋歌」を取り上げていました。
 越中八尾の風の盆を舞台にした悲恋物語です。この風の盆で演奏される越中おわら節は三味線と胡弓という珍しい伴奏で歌われます。胡弓のもの悲しいメロディと静かな踊りの組み合わせが幽玄な雰囲気を漂わせています。』ということも教えてくれた。
 そんないわれのある花とは知らなかった。
 わがマンションの一階の住人は、個人所有ではないが、専用庭として安い料金でベランダの前に7,8坪の庭が使えることになっている。荒れ放題の庭もあるが、きれいに手入れして、季節ごとに色とりどりの花を咲かせて、マンションの住民たちを楽しませてくれている。くだんの酔芙蓉もそんな庭の一つに植えられている。
 それではと、早速デジカメを取り出し、散歩がてらの撮影となった。いつも見ている花、てっきりただの芙蓉で、色が変わっているなどとは思いもつかなかった。確かに、画像の如く、朝は白、昼ごろには淡いピンク、夕方には薄い赤に変わっている。6時過ぎには花を閉じる。つぼみがたくさんあるので、しぼんだ赤い花が翌日また白くなって花開くのか、それとも新しい花が白く開いて、ピンクになり、赤くしぼんで一日で終わるのか、わからない。
 立葵ムクゲなどアオイ科の花は一日で終わるようなので、この酔芙蓉もそうかもしれない。明日、同じ花がどうなっているか、また写真を撮ってみたいと思う。
 インターネットの「花300」というサイト(以下のURL)http://www.hana300.com/fuyou0.html
は花検索をするのに便利だ。このサイトの中で、
『昔から美しい人のたとえに用いられている花で、美しくしとやかな顔立ちのことを「芙蓉の顔」という。』という説明があった。
 品の良い、和服の似合う、饒舌でない色白女性が、ほろ酔い、ほんのりとピンクから淡い紅へと、頬、うなじあたりを染める情景を想像してしまう。
 これもHenryのかなわぬ老いらくの夢であろうか。「酔芙蓉」が空想の世界を楽しませてくれるところがありがたい。
 5/2のブログで書いた、「“人はなぜ花を愛でるのか”それは、人間と神仏との間、他者との間を取り持つ『なかだち』の役割を花に期待しているからではないだろうか」の文章を思い出した。