TV「こころの時代」松原泰道 & 幸田露伴:努力論

 NHKのこころの時代は、毎週日曜の午前5時から放送になっている。昔から時々見ていた。夜型のHenryとしてはいい番組だと思っていても早起きして見ることはほとんどなかった。
 今はビデオで録画するよりもはるかに簡単にDVD録画ができる。昔からよほどの番組でない限り、ビデオで録画して後から見るということはしていなかった。DVD録画はもっぱら家人の関わる世界だった。最近、数年使ってきたDVDが、ダビングする際にちょっと調子が悪いと言うことで、ブルーレイのDVDを購入した。古いDVDを私が譲り受け?操作し始めた。たまたま、DVDの番組表で「こころの時代」が目にとまり、録画しておいた。なんと、二日前にお亡くなりになった、松原泰道さんの出演だった。我が家人も何故か録画をしており、日曜日の朝うとうとしていたら、松原泰道さんの番組を再生していた。内容が、幸田露伴の「幸福論」の三福に松原泰道さんが四つの福を加えて“七福”という話をされていた。
 幸田露伴の“三福”はたまたま一ヶ月前に、ブックオフで見つけた中野孝次の「自分を活かす“気”の思想―幸田露伴『努力論』に学ぶ (集英社新書)」で読んでいた。松原泰道さんの話が“三福”+“四福”=“七福”だったのも何かのご縁だろう。そういう意味で、この日の「こころの時代」を興味深く拝見した。
 幸田露伴の三福は、「惜福」「分福」「植福」、これを松原泰道さんは、惜福を「積福」とひろげ、さらに「知足福」「逆縁福」「点灯福」「保福」の四つを加えて、七福として語っておられた。
 百一歳の仏教界の長老が自分の体験、人生の中からにじみ出た「七福」を静かに語る。重みと味わいがあるお話だった。
 「逆縁福」は逆境もまた、大きなこころ、長い目で見れば、自分に福をもたらすものだということだろうか。「点灯福」は、光の見えないあんまの女性が小さな自分の家の外に電灯をつけて、ぬかるみの暗い道を明るく照らし、そこを通る人たちから感謝されたという話を語りながら、人の心に灯りをともす“福”という意味だと話された。
 露伴の「三福」を含めて、その他の福については、あらためて説明の必要はないでしょう。幸田露伴の「努力論」は、今の我々が読むにはちょっと骨のようだ。中野孝次のこの本が丁寧に「努力論」を解説してくれている。なかなか味わいのある本です。ご興味のある方は是非ご一読を。
 人生、どこで、なにがつながってくるか分からない。それがまた人生の楽しさ、一期一会の味わいでしょうか。松原泰道さんの本も読み直してみようと思う。
 「