華厳という見方
玄侑宗久の「華厳という見方」を読んだ
玄侑宗久が華厳の仏教について語っている。講演会の内容を本にしたとのことでやさしく書かれている。鈴木大拙の書いた華厳の研究や大拙が天皇陛下に華厳仏教について進講したことや、中沢新一の「レンマ学」や量子力学と華厳仏教にふれている。150頁弱ほどの本だが、華厳仏教をベースに現代社会の問題やレンマ学、量子もつれ、AI、ユングの共時性、ボーアの暗在系と明在系、等について分かりやすく書かれている。
華厳仏教については、鎌田茂雄の「華厳の思想」大拙の「華厳の研究」他、数冊読んできた。深く読むには鎌田茂雄の「華厳の思想」がお勧めだが、華厳仏教を初めて読むのなら玄侑宗久のこの本が一番わかりやすくサラッと読める。
玄侑宗久は中陰の花で芥川賞を取った、臨済宗の現役僧侶で仏教書だけでなく、色んな本を書いている。南直哉との対談集も面白かった。
50歳を過ぎて、人生がひときは味わい深くなってから華厳経に辿り着いたと、この本の冒頭に書いている。
私が華厳仏教に出会ったのは53歳前後だったろうか。因陀羅網のたとえ、一即一切、一切即一、四法界、事事無礙法界等の考え方等がちょっと分かったような気になっていた。
80歳を前にして最近再度華厳経を読み直している折に、玄侑宗久のこの本に出会った。私の華厳経理解の頭を整理しぃてもらうにも分かりやすくいい本でした。