楓:出猩々

 4/8に出猩々という楓のことを書いた。出猩々という名前が気になった。猩々というのは何に由来するのだろうか。広辞苑を引いてみると中国の想像上の怪獣で、体は狗や猿の如く、・・・毛は長く朱紅色で、・・・、酒を好むとある。よく酒を飲む人という意味もある。となると、わたしも“猩々”か。
 この出猩々という楓、新芽から出る葉が朱紅色なので色が似ているということなのだろうか。どうもすっきりしないが、インターネットで調べても由来については載っていない。“猩々”の前の“出”はなんだろうと、暇人Henry、くだらないことを考えたら眠れなくなった。
 白洲正子が「木:なまえ・かたち・たくみ」という本を書いている。樫、松、桐、栃、樟など、日本の木にまつわる歴史、文学について、また、木の文化そのものについて白洲正子流の“木を考える”エッセー、紀行文になっていてなるほどと感心させられる。この本の中に「楓」も取り上げられているので読んだ。
 楓は「かへるで(蝦手)」と古名で呼んだ。葉の形が蛙の手に似ているからだという。また、ふつうはもみじと呼んでいるが、『万葉集』では、主に「黄葉」の字を宛て、紅葉と書くようになったのは、平安朝以後のことらしい。本来もみじは動詞で、秋に黄や紅に変色することを、「もみつ」「もみつる」から「もみず」「もみずる」と変化した。楓が一番美しく紅葉するので、それから、「もみじ」という名詞となったのであろうと、説明があった。
 <わが屋戸(やど)に もみつ かえるで見るごとに 妹をかけつつ恋ぬ日はなし>
 という、万葉集の中の、ちょっと色っぽい恋歌も紹介していた。

 妙齢さんから「イロハモミジ」っていうのがあるけど、なんでイロハモミジというのか知ってるかと聞かれた。この歳になってやっと少し勉強を始めたHenry君は知る由もない。葉が七つに分かれている→いろはにほへと=七文字ということらしい。そう言われて、すぐ葉に目を移すと、九つに分かれた葉が目にとまった。9枚もあるじゃないか!家に帰って調べるとカエデ科にはいろいろあって葉の分かれ方も、三枚、五枚、七枚とある。九まいは突然変異か出来損ないか。なぜか偶数はなかったようだ。
 妙齢さん「この猩々、しょうじょう寺のしょうじょうでしょう?」その時はそうかなと思ったけど調べなおしてみたら「証誠寺」が正しい。でも狸囃子だから「猩々寺」もありじゃないかと思った。 
 春に紅葉の話でもあるまいと思ったが、「出猩々」から楓の話になりました。
 <蔭の声>屁理屈をこねないで、もっと単純に自然、草木を観賞しなさい!
 以下はいろいろなカエデを見せてくれます。
 http://www.tssplaza.co.jp/hanasanpo/momiji.htm