「仏弟子の世間話」
(サンガ新書:玄侑宗久+アルボムッレ・スマナサーラ
サンガ新書というのは初めてだった。テーラワーダ仏教、スリランカ初期仏教の長老、アルボムッレ・スマナサーラという人と、玄侑さんとの対談ということで、どんな対談をしているのか興味があって読んでみた。
以前から、タイ、ミャンマーやスリランカの上座部仏教とはどんなものなのか興味があったが、「発句経(ダンマパダ)」を昔読んだくらいで、東南アジアで現に生きている上座部仏教にも関心があった。
「現代語訳 般若心経」を書いたばかりの玄侑さんがスマナサーラ長老から、「“色即是空”はいいが、“空即是色”は間違いです。龍樹みたいな人が余計な事を言っただけだ」「“色即是空”はお釈迦さまも言った真理で、“物質的現象には実体がない”というのは客観的事実ですが、“空即是色”⇒“実体のないものは物質的現象だ”とは言えない。般若心経の中では、何かしら文学的に成り立つかもしれませんが、真理ではありません。経典を書いた人が、真理を分かっていなかったみたいです」と言われる。玄侑さんも、いろいろと食い下がるが、ちょっとたじたじしている感がある。スマナサーラ長老の論旨が一本筋が通っているように感じた。
私も、今まで玄侑さんのものも含め、多くの般若心経解説本、解釈本を読んできた。玄侑さんとほぼ同じように、「空即是色」を理解してきたので、スマナサーラ長老のような解釈(彼はそれこそが正しいと言っているのだが)があることが新鮮だった。
株式会社サンガというところで「サンガの本」というのを出版している。スマナサーラさんが仏教関係の、7,8冊の本を出している。立松和平さんとの対話「ブッダの道の歩き方」という本も出している。これも面白そうだ。