東山魁夷展

 東山魁夷展を東京国立近代美術館に見に行った。5月18日が最終日なので、並ばねば入れないくらい混んでいるいるのではないかと心配した。入場はスムーズだったが、中に入ったら大変な混雑だった。 
 東山魁夷の絵画を直に見るのはほぼ40年ぶり近くになる。市川市の京成百貨店で見た。正直な所、そのときに見た印象の方がはるかに素晴らしかった。東山魁夷の絵は、混んでいる人並み越しに見るものではないのだろう。
 「青響」「映象」「白暮」「白馬の森」「年暮る」等の絵は、できれば、一人静かに、ちょっと離れて眺める方が味わいがあると思う。
 1週間前に松岡正剛の「山水思想−『負』の想像力」という本を読んだ。松岡は、この本の中で、日本の山水画が成熟していく中で「和の山水」というものができあがって来たという。また、日本人のDNAの中には、余計なものをそぎおとした“負”の想像力を働かせて、“山水らしきもの”に心を動かし、ピンとくる何かを感じるものが備わっているという。
 そういう観点から眺めると、東山魁夷の絵は、まさに「青・蒼・藍の山水」ではないかと思った。松岡正剛は、素晴らしい山水画は「気とタオ」、「気韻生動」といったものを発しているという。
東山魁夷の絵画には静謐な気を発しているように私には感じられた
 近代美術館の2〜4階では近現代の美術が展示されていた。私の絵画鑑賞力が足りないせいだと思うが、ほとんどの絵になんの感動もしなかった。中には嫌な気を発しているようなものもあった。上手い料理の後のデザートがまずかったようなものか。
 30数年前にも、魁夷の絵を見て画集を買った。彼が書いた本も2,3冊読んだ。今回もプログラムを求めた。展示されていた絵画を思い出しながら、この本を読んで、お絵かき(禅画)の勉強に役立てたいと思う。