琵琶湖湖北観音巡り <その1>

 A塾の企画で湖北観音巡りをしてきた。総勢19名、塾のメンバー、男性は先生をはじめ10名、女性は9名。長浜駅で集合し、高月まで行って、そこからチャーターしてあるマイクロバスに乗った。皆さん、塾で日本の仏像や寺社巡りをしてきている美術愛好家の皆さんだ。私は新参者で一番の素人だ。
 まず、大円寺の高月観音堂、等身の42臂の千手観音。つぎは有名な渡岸寺(向源寺)の十一面観音、2006年上野の東京博物館に展示されたときに見に行った。この時始めてみた十一面観音は素晴らしかったが、村の中のお堂に収まっている姿にはより親しみを感じた。昔は茅葺屋根のお堂に祀ってあったという。新しい収蔵庫が建ってもなかなか本尊を移さなかったという。村の人々が反対したためという。火災防止と盗難防止のためには収蔵庫に移されたのはやむを得ないだろう。連休の初日なのに見に来ていたのは我々のグループしかいない。こういう素晴らしい仏像が、村人に守られて、湖北の村の中のひっそりとしたお寺の中で、奈良・平安の昔から祀られてきたということが驚きでもある。ふと、南木圭士の「阿弥陀堂だより」の阿弥陀堂とイメージがダブった。
 渡岸寺境内にある歴史民俗資料館、己高閣(こたかみかく:ここうかく)、世代閣(よしろかく)で、鶏足寺の十一面観音立像、戸岩寺(といわじ)の薬師如来立像を鑑賞。 
それぞれの仏像は以下のURLでご覧になれます。
http://beauty.geocities.jp/gyhrt256/toiwaji.html
http://homepage1.nifty.com/~sakuranamiki/room1yyy.htm
私の回ったコースを以下のブログでうまく紹介しています。
http://blog.ko-blog.jp/nature-kosatsu/kiji/1250.html
 
医王寺では、井上靖の小説「星と祭り」に乙女観音と称して登場する、楠の一木造りの十一面観音立像を拝観した。
 湖北のお寺はこの医王寺のように無住のお寺が多い。村人がボランティアで交代して、お寺、お堂を守っている。事前に電話をすると到着時間に合わせてお堂の扉を開けてくれる。説明はほとんどがテープだが、中には自分たちがこの観音さんを守ってきたのだという誇りがあるようで、立派なお話をしてくれる方もいた。
 湖北地方は、賤ヶ岳の合戦、姉川の合戦など戦乱の絶えないところ、村人が戦乱から仏像、観音様を守ろうと、土の中、川のなかに沈めて守ってきたと言う。だから、すすけた仏像、手のない仏像なども多い。数百年の間、村人の篤い信仰に守られて今日まで残っていることに感動する。
 京都、奈良の観光寺院化した寺の中で、ガラスケースに入った仏像を眺めるよりずっと素晴らしい。こういうところに、日本の素晴らしい文化、芸術が残っていることを、もっと多くの人が学ばねばならないと思った。
 歴史と芸術に疎いHenryも、この年になって、琵琶湖周辺、湖北の歴史を学ぶと共に、十一面観音の素晴らしさが少し分かってきたようだ。
医王寺は以下のURLの下の方で紹介されています。
http://www.biwa.ne.jp/~futamura/sub71.htm
 予定では余呉町の菅山寺に行くことになっていたが、日没が近かったのと、小一時間山を登らなくてはいけないということで、平均年齢60?歳のグループとしては断念した。
 琵琶湖の北にちょこんとした余呉湖という所があることを今回初めて知った。この日の宿、国民宿舎余呉湖荘に向かった。