数学を読む 岡潔「数学する人生」、森田真生「数学する身体」その2

森田真生はこの「数学する身体」で最年少で小林秀雄賞を受賞したまだ34歳の若き俊英だ。
「数学する身体」という本、新潮文庫で227頁程の薄い本だが、読み応えのある本だった。
 一応できの悪い工学部卒の小生ではあったが、学生時代にはデーデキントの「数について」、ベルヌーイ、ガウスオイラーの公式カントールの「集合論」、フーリエ級数などなど、。数学は小学校時代から好きだった。そんなわけで、そこそこは勉強してきた。卒業後も仕事に関係なくても数学関係の本は多少読み続けていた。
 この本はちょっとした数学史にもなっており、暗号機エニグマを解読したチューリング岡潔の比較なども面白い。また、岡潔芭蕉を深く読み込まれ、芭蕉の句は「生きた自然の一片がそのままとらえられている」「一片をとらえてそのまま五七五の句形に結晶させた」として、「ほろほろと山吹散るか滝の音」を取り上げている。凡人Henryにはその"情緒"の深さは分からない。
 "心には本来彩りや輝きや動きがある"そういったものが情緒であり、情緒は情の緒(いとぐち)であり。「自他の間を行き交う"情"が個々の人や物の上に宿ったとき、それが情緒となる。」と岡潔は情緒を説明している。
 岡潔に関する2冊の本を読んで、「日本のこころ」「春宵十話」が読みたくなった。
 改めて、岡潔は偉大なる、数学者であるとともに、哲学者、禅僧だと思った。