「白隠 禅画の世界」(吉澤勝弘:中公新書)

 たまたま近くのブックオフに不要になった本を処分しに行った。計算を待っている間に何か良いでものはないかと棚を見ていると、「白隠 禅画の世界」が目にとまった。中公新書でこんな本が出ていることを知らなかった。
 白隠は以前通っていた禅画教室で先生から白隠禅画のお手本を貰い、何枚かの白隠風達磨絵を描いていた。また、NHK白隠特集で白隠の禅画にどんな意味が込められているのか等を知ることができた。
 白隠は禅画で有名なだけかと思っていたが、どうしてどうして、江戸中期に臨済禅を再興しただけでなく、唯識仏教もマスターした上で、時代の風俗、文化、を取り込んで民衆を教化した一人の宗教改革者だったのである。また、「富士大名行列図」ほか、多くの禅画の中で、江戸幕府大名行列の批判なども行っており、魅力のある禅僧であることを再認識した。
 しばらくの間、達磨絵は描いていないが、教室の仲間から先生はお亡くなりになったが、教室の仲間数人で研究会を再開し、月に2回くらい集まって、一緒に達磨絵を描こうという話が持ち上がっている。
 この本を読んで、また、遍理の白隠風達磨絵、禅画が画きたくなった。